ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの連載「今週のお務め」。8回目のテーマは「福原愛さん」について。
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「日本三大・愛ちゃん」といえば福原愛・杉山愛・はるな愛ですが、中でも幼少期から国民的アイドルとして、長らく「愛ちゃん界」のトップに君臨してきた福原愛さんが、何やら前の旦那と揉めています。
やれ「家族を捨てて新しい男に走った!」だの、「連れ去った子供を返せ!」だの、いわゆる昔で言うところの「ザ・泥沼離婚」というやつです。
先日離婚が成立した広末涼子さんのケースしかり、今回も元夫が記者会見を開き、妻(元妻)の不貞や不実を涙ながらに訴える姿を見て、改めて「男女の立ち位置もずいぶん変化したな」と実感させられました。あの「泣き虫愛ちゃん」が男を泣かせるようになったなんて……。
古くは「江利チエミ・高倉健」「松田聖子・神田正輝」「大地真央・松平健」「中山美穂・辻仁成」など、女性側にまつわる様々な「強さ」が夫婦生活破綻の要因になったと思われるケースはたくさん見てきましたが、どうも最近は「男性側の弱さ」ばかりが目立つように感じるのは、私の思考が古いからでしょうか?
かつて女優の大原麗子さんが森進一さんと離婚した際、「ウチには男がふたり居たんです」と自身の結婚生活を表した名言を放ちました。あれから40年。時代とともに女性の社会的地位も上がり、炊事洗濯子育てをするだけが「妻の生き方」ではなくなりました。その一方で、昔気質な「男の甲斐性」は経済的にも道徳的にも弱まるばかりです。
もともと「理想の夫婦像」なんてものは、外で経済活動をする男を粛々と働かせるために、女が(時に我慢をしながらも)上手く手綱を引いてバランスを保ってきた賜物なのだとすれば、そんな幻想に価値がなくなりつつある現代において、広末さんや愛ちゃんの元夫たちのように「女に泣かされる男」は今後も増えていくことでしょう。