これに対し、日本株の下げ幅がより大きなものになったのは「一言で言えば、格好の調整の材料にされてしまったことが大きい」(黒瀬さん)。
日経平均株価は7月にバブル崩壊後の高値を更新し、その後も一進一退を繰り返しながら高い水準での取引が続いてきた。日本銀行が7月27~28日にイールドカーブ・コントロール(YCC)の見直しを発表した後には株価への影響が心配されたものの、決定直後の31日、8月1日の日経平均は2日続けて上昇した。
黒瀬さんは続ける。
「日銀の決定に対しては、決定直後こそ買われる形で反応したものの、実際にはどう捉えたらよいか消化しきれない市場関係者もなお少なくないはず。実際に長期金利は今までの水準よりも切り上がっています。日銀は実質的に利上げ姿勢に転じたのではないかという印象が膨らみつつあります」
日本市場でも今後は米国債の格下げよりも、この日銀の姿勢をどう見極めるかが重視されるようになるとみている。
「米国債の格下げは日本市場でも1週間も経ったら忘れられてしまうでしょう。これに対し、日銀の決定についてはまだモヤモヤが残っています。見極めるにはもう少し時間が必要です」
(AERAdot.編集部・池田正史)