「ほとんどは静観している感じです。関わりたくないと思っているんでしょう。そりゃあ、そうですよ。事件の内容がよくわからないんですから。では、なぜ私がこの取材で発言しているのかというと、特捜や警察の横暴によって冤罪被害にあった人を見てきたからです。厚労省元局長の村木厚子さんの冤罪事件はその典型です。私はそういう冤罪をそばで見てきたし、またあの時と同じことになるのではと危惧しています。それも、今回は特捜ではなく、報道機関がやってしまっている」
佐藤氏は会見で、種雄さんのケースは「自殺の証拠がないのだから誰が見ても事件である」と主張した。
「それでいて、X子さんへの取り調べ2日目くらいで、(犯行は)女にはできないから犯人ではないと思ったと話しています。そして、Zという人物がホンボシじゃないかと直感で思った、と言っています。捜査本部全体ではホシはX子さんだけど、佐藤さんはZだと思ったという。それなのに捜査本部で共有していないんですよ。怪しい真犯人がいるのなら、当然、情報を共有すべきではないでしょうか。佐藤さんが法と証拠に基づいて誠意ある捜査をやったとはとても思えません」
西田氏は問題の本質をこう話す。
「最大の要因は、X子さんは木原誠二という政治家の妻であるだけで取り上げられている、ということです。木原さんは公人だけど、妻は公人ではない。しかも殺人事件となれば、重大な事案です。それを軽々しくああいう形で報道するのは、私はあり得ないと思います」
もう一方、木原氏が再捜査に政治的圧力をかけたのではないか、という疑惑についてはどう感じているのか。
「国会が始まると子どもの世話ができなくなるので、(捜査は)国会が始まる前にしてくれと言ったということでしょう。再捜査は1年近くもやっていて、妻の事情聴取も10日間、家宅捜索もやって、それでも何も出てこなかった。それで捜査が止まったのは、政治的圧力なのでしょうか。ドライブレコーダーに残された発言も出ていますが、それは夫と妻の会話でしょう。家族が事情聴取されるようなことになったら『オレがしっかり支えるから頑張れ』と励ますのはごく普通ことですし、男として立派なもんだと思います」
西田氏は、やましいことがないことを証明するためにも「木原さんは会見するべきだ」と勧める。
「彼は官房副長官で、内閣のスポークスマンです。スポークスマンが自分の家族に疑いがかけられていることに対してスポークスしなかったら仕事にならない。だから、堂々と会見をやったらいいんです。本当に何か圧力をかけたのか、木原さんが率直に語ればいいと思います」
木原氏が記者の前で“真相”を語る日は来るのだろうか。
(AERA dot.編集部・上田耕司)