「一酸化炭素中毒が疑われる場合、血液中のCOHb(一酸化炭素ヘモグロビン)の数値を測る検査を行います。この検査は個人病院では行えないことが多いでしょう。さらに、一般の内科や外科では、酸素を用意していないこともありますので、救急外来のある医療機関を受診するようにしてください。また、すべての救急車には酸素が装備されていますので、医療機関を探せない場合や、重症と思われる場合は救急車を呼んでください」
大抵のキャンプ場は都市部から離れた場所にある。自力で近くの病院を探した結果、治療を行えずにたらい回しになる可能性もあるので、速やかに119番通報するのが良さそうだ。
とはいえ、病院に行っても基本的には対処療法となり、後遺症が残った場合はリハビリをするしかない。また、気圧の高い部屋で100%酸素を吸入し、全身に酸素を供給する「高気圧酸素治療」は、一酸化炭素中毒直後の症状改善には有効性が認められているものの、後遺症を防げるかどうかは医療従事者の間でも意見が分かれ、十分なコンセンサスを得られていないと冨岡医師は言う。
つまり、一酸化炭素中毒の最善の対処法は「予防」に尽きるというわけだ。
「対策としては、シンプルに『換気』です。意外と知られていませんが、ドライアイスの気体(二酸化炭素)も濃度によっては中毒症状を引き起こします。イベントの多いこれからの時期は、とにかくこまめな換気を心掛けてください」(冨岡医師)
(文/酒井理恵)