しかし、こうした弁明に対しても〈今は他にやるべき事が沢山あるように思います〉、〈遠足気分でしたごめんなさいってなんで言えないのでしょうか〉、〈SNSの投稿は「研修」の様子や報告のためにされるべき〉などと炎上はとどまりそうもない。

 専門家はどう見るか。政治ジャーナリストの角谷浩一さんは「あの写真だけで炎上するのはさすがにかわいそうだ」と話す。

 現状では今回の38人が観光に興じていた具体的な事実は明らかになっていない。批判されている写真で羽目を外したものは、エッフェル塔の前で塔の形を真似て撮った写真くらいだ。角谷さんはこう説明する。

「記念写真であの程度のポーズをとるのは、許容範囲だと思います。この程度の内容で炎上するとなると、議員はその活動をSNSで投稿するのを自粛するようになってしまう。そうすると議員がどういった活動をしているのかわからなくなります。そちらの弊害のほうが大きいと思います」

 本来、批判の対象となるのは、その視察の中身や今回の研修をどう今後に生かしたかであるべきだ。この写真一つで判断するのは早計だという立場だ。他方で、自民党や国会議員らは今回の炎上を軽視するべきではない、と角谷さんは指摘する。

「国民の不満が爆発している背景には生活が苦しくなっている現状がある。こうした写真が許せないくらい不満が溜まっているのでしょう。国民の不満の原因に思いを至らせる必要があります。また、視察に行くのであれば、それが政策に役立っていることをしっかり示していく必要があります。例えば、報告書を作成したら誰でも閲覧できるように公開するべきです。そうした説明をこれまでしてこなかったことで国民の不信を高めてきた。政治家側の落ち度です」

 今回の炎上の背景には、岸田内閣への不満、より深くは政治に対する不信というものがありそうだ。

(AERA.dot 編集部・吉崎洋夫)

著者プロフィールを見る
吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

吉崎洋夫の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
シンプルでおしゃれな男女兼用日傘で熱中症を防ごう!軽さ&大きさ、どちらを重視する?