たとえば、私はゲームの「スプラトゥーン」が得意で、そのへんの人には負けない自信がありますが、これは「交換可能な価値」ではありません。他の人にとっても、価値があることではないからです。
私の場合、他の人よりも得意で、マーケットもある分野は「教えること」でした。
学生のとき、アルバイトで塾の先生をやってみたら、他の人より上手にできることに気がつきました。
塾で教えるのは楽しい体験でした。交換可能な価値を生みつつ、自分としても楽しい。そういう分野だと、がんばるのもあまり苦になりません。
その後、自分で学習塾を立ち上げました。最初はワンフロアの小さな塾でしたが、1年ほどでビル一棟、全フロアを埋めるまで成長しました。
そんなに一気に伸びるとは、最初は想像していませんでした。
大変なことはもちろんありましたが、苦手な分野はとにかく人に任せていたので、そんなにつらくはなかった。
労力に対して、とても大きな成果を得られた感覚でした。これは、得意なことにフォーカスした結果だと思います。
●岡 健作(おか・けんさく)
スタディーハッカー 代表取締役社長
1977年生まれ、福岡出身。同志社大学(文学部英文学科)在籍中から英語教育に関わる。大手学習塾の講師・教室長を経て、2010年に京都で恵学社(現:スタディーハッカー)を創業。“Study Smart”(学びをもっと合理的でクールなものに)をコンセプトに、第二言語習得研究(SLA:Second Language Acquisition)などの科学的な知見を実際的な学びの場に落とし込んだ予備校を立ち上げる。予備校で培った英語指導ノウハウを活かした社会人向けの英語のパーソナルジムENGLISH COMPANYを2015年に設立。その他、学びやスキルアップにまつわるアプリ開発なども行っている。著書に『TOEIC(R)テスト科学的攻略法』(秀和システム)『逆転合格を実現する 医学部受験×パーソナルトレーナ』(幻冬舎新書)などがある。