
この夏、そんなフジテレビが反撃の狼煙を上げた。4年ぶりに放送された『FNS27時間テレビ』が大いに話題になったのだ。各コーナーが充実していて、テレビ好き・お笑い好きからの評価も高かったし、人気の指標となるコア視聴率でも他局を抑えていた。
ここ数年、バラエティではどちらかと言うと守りに入っていた感のあるフジテレビが、今回はうってかわって打って変わって攻撃に転じていた。その象徴が、千鳥、かまいたち、ダイアンの3組を総合司会に迎えたことだ。
これまでの『FNS27時間テレビ』の司会と言えば、タモリ、ビートたけし、 明石家さんま、ダウンタウン、ナインティナインといったそうそうたる顔ぶれが並ぶ。そこにこの3組が起用されたのは大抜擢である。
そして、番組内容も大幅にリニューアルされた。2017~2019年の直近3回では「歴史」「食」「スポーツ」をテーマにする情報バラエティが軸になっていたのだが、今回ははっきりとお笑い寄りの内容が多かった。
千鳥、かまいたち、ダイアンのユースケがレギュラー出演する人気番組『千鳥の鬼レンチャン』をベースにして、さまざまな企画が行われた。ほいけんた、細魚(木山裕策)など『鬼レンチャン』から生まれたスターたちが八面六臂の活躍を見せた。
ほいけんたの「カラダぐぅ」に続く「くるっくぅ」は笑った、細魚と矢口真里のデュエットは圧巻だった、などとここで書いてみても、普段から『鬼レンチャン』を見ていない人には何のことかわからないかもしれない。でも、見ている人にとっては神がかり的に面白かった。
今回の『FNS27時間テレビ』では、そんな良い意味での「内輪受け」の要素がスパイスになっていて、テレビ好き・お笑い好きには特に刺さっていた。
プロダクトアウトとは、言い換えれば「内輪受けを堂々と提示する」ということでもある。かつてのフジテレビには、業界内の内輪受けに日本中の視聴者を巻き込んで熱狂させてしまうようなところがあった。