Aさんと一緒に仕事をしていた元店長のBさんは、

「今も怖いので」

 とビッグモーターのことを恐れながらも、

「とんでもない会社です。車に傷をつけて、保険金でもうけて売り上げに計上することがビジネスモデルになっている。傷つけて売り上げに貢献すれば給料を上げてやると。黙らせるには『店長にカネを』というやり方です。私は月収200万円、300万円というときもあったけど数カ月だけ。家に帰れない日があるほど仕事が山積み、それも不正請求の伝票などをまとめるためです。カネはそこそこたまったけど、精神が病んで薬が手放せない体になりました。ワーカホリックのようにして、まともな判断ができないような状況に追い込むのです」

 とだけ話し、LINEのアプリをみせてくれた。

■<異動になるぞ>

<売り上げは? 降格になるな>

<異動になるぞ>

 などとあり、送信元が<Koichi Kaneshige>とある。

 ビッグモーターを実質的に取り仕切る社長の息子の兼重宏一副社長ら特定の幹部に権限が集中していたという。報告書には、内部告発があり社長や副社長も不正な傷つけや過大請求を知っていたとの指摘もあるが、2人とも、

「知らなかった」

 と調査した弁護士に回答したという。

 一方、国土交通省や金融庁も同社の関係者に事情聴取する方針だ。

 表では「買取台数 6年連続日本一」や「車検価格満足度」「指定工場数」いずれも「第1位」とPRしてきたビッグモーター。はたして、その「闇」はどこまで明らかになるのか。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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