渡辺県議は検事から、
「証拠もいっぱい挙がってますし、協力してもらえないですか?」
などと言われ、検察が描くストーリーに合致するような“自白”を求められた。
「(捜査の流れに)乗り遅れたらこう余計、(渡辺県議に)ダメージが大きくなる。ちゃんとお話をするなら早めがいいです。もう引っ込みがつかなくなっちゃって、どうなっちゃうかっていうと、はっきりいうと河井先生たちと一緒に沈んでいきます。そうなったらもう議員もやってられません」
それでも買収であることを認める供述を拒む渡辺県議に対し、
「(事件の)主役になるってことですね」
と3度、机をたたいた。
渡辺県議は、東京地検特捜部に、強引な取り調べに強く抗議する文書を送った。
<「この証拠がある以上は、これ動かないですよね」などと、当該検事が執拗に現金受領を認めるよう求め、自白が強要された>
<「最終的な証拠」「決定的な証拠」「動かない証拠」が、あたかもあるかのように嘘を言い(そのような証拠があるなら、このような執拗な自白強要を繰り返す必要がないのは自明である)、自白しなければ渡辺が「河井先生達と一緒に沈んで」いくと、刑事手続には素人である渡辺を極度に困惑畏怖させて、自白を強要しようとした>
これを受け、東京地検から「検事には注意した」と弁護士を通じて渡辺県議に連絡があったという。
渡辺県議は自身の裁判でも「供述を強要された」として無罪を訴えていたが、7月19日に広島地裁であった判決公判では買収と認定され、罰金と追徴金が言い渡された。渡辺県議は即日控訴している。
■別の元県議も裁判で証言
元市議や渡辺県議らと同様に検事から「不起訴にする」と言われ、記憶や考えとは違う供述調書にサインをさせられたと裁判などで明らかにした県議、市議は他にもいる。
渡辺県議とは別の元県議は2020年3月から4月にかけて、
「河井先生が事務所に来て妻の案里さんが参院選に出馬するので支援をよろしくお願いいたしますという趣旨の発言をして現金入りの封筒を差し出しました」
「河井先生の顔をつぶすわけにもいかず、現金入りの封筒を受け取りました」
「このカネは違法な買収にあたるとわかっていた」
といった供述調書が作られたという。