■なぜアスリート盗撮は外れた?
前述のように、新たに施行された「撮影罪」では「アスリート盗撮」は対象外となった。一体なぜなのか。
「今回の立法化の過程で、具体的にどのような行為が犯罪となり、ならないか、という限界事例の線引きが不明確だから、という理由です。確かに、ぎりぎりの線引きの見分けは簡単ではないかもしれませんが、不当な行為は明らかに存在しています。そうした行為に限定して法律を定めて運用すればよいはずです。難しいからといって、そこから目を背けたり、困難さから逃げるのはおかしい、というのが私の意見です」
■衆参両院の付帯決議の意味
では、アスリート盗撮の防止という点で、今回の「撮影罪」新設は意味がないのだろうか?
「そんなことはありません。『着衣の上からの撮影』は撮影罪の対象から外れましたが、更衣室やトイレに隠しカメラを設置したり、赤外線カメラで透視撮影をする行為は、当然のことながら撮影罪の対象です。(迷惑防止)条例には罰則の重さに上限がありますが、『法律』で犯罪化されたことで、法定刑が重くなりました。法律で規制されたことで、警察などの取り組みにおいて、これまでよりも重みを増して対応されることが期待され、悪質な事案が立件されやすくなると思います」
さらに、衆参両院の法務委員会で当該法案が可決された際、それぞれの「付帯決議」において、アスリート盗撮も規制対象とすることが検討課題として明記された。
「つまり今後、このような規制を検討せよ、と位置づけられたわけです」
アスリート盗撮画像を目にした人であれば、その行為がいかに卑劣なものか、よくわかると思う。選手のみならず、スポーツ写真の発展のためにも、ぜひきちんとした規制を行ってほしい。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)