前出の三浦さんは言う。
「チャート分析は、あくまで相場の先行きをみるうえでのツールの一つ。一つの指標だけで判断するのは危険です。ほかの指標や、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)や外部要因といったいろいろな状況を踏まえて考える必要があるでしょう」
三浦さんが合わせて参考とするチャートの一つに、「移動平均線」がある。移動平均線は、過去の一定期間の値動きの平均値を計算し、その推移を折れ線グラフで示したものだ。現在の価格をどう位置づけたらよいかや、今後の方向性を考える際の手がかりとして利用する市場関係者は多い。
今回の局面では、日経平均が「25日線」と呼ぶ移動平均線を7月6日に下回った後、これを超えられずに推移していることが相場の弱さを示しているという。
「25日線は1カ月程度の終値の平均値で、その間の平均的な『買いコスト』を示しています。現在の株価がこれを上回っていれば相場は強いと判断できます。反対に、下回っていると、相場は弱いとみることができます。現在は25日線を下回って推移していますから、短期的に弱い状況にあると言えるでしょう」
25日線のほかにも、「100日線」や「200日線」など、いろいろな期間の捉え方がある。移動平均線そのものが上向きか下向きか、どちらを向いているかによっても相場の強弱を判断することができる。
また、移動平均線との「かい離率」も相場の強さを測る判断材料になる。「25日線ならプラス・マイナス5%程度、200日線なら同20%程度が目安になるでしょう」(三浦さん)。
例えば25日線を5%以上、上回るような高値の水準にあれば「買われ過ぎ」、反対に5%以上、下回っているようなら「売られ過ぎ」とみることができる。
日経平均は現在、25日線は下回ったとはいえ、200日線は上回る水準にある。三浦さんによれば、今後さらに200日線を下回るような展開になれば、相場はより弱気に傾いたと判断できると指摘している。