「この人ならたたいていいんだという風潮が生まれやすくなっていると思います」

 であれば、どのような対策を取ることが求められるのだろうか。

「発信するのは原則として自由、という前提があることからプラットフォーム側の自主的な規制に任せるしかないのですが、たとえばヤフコメなら『死』に関する記事については監視を強化するなど、プラットフォームの特性に合わせた規制を作っていくことが考えられます」(清水弁護士)

 とはいえ、プラットフォーム側に対策を強制することはできない。仮に、ヤフコメ欄がなくなったとしても、別のSNSなどに流れていくだけになる可能性もある。

■法整備の先にあるのは

 ryuchellさんの死を受け、国会議員や地方自治体の首長らからネットでの誹謗中傷の取り締まり強化や、法整備を求める声が出ている。

「法整備はあり得る対策だとは思います。ただ、それは今まで許されていたことが違法となり、場合によっては逮捕などの処罰を受ける社会になるということ。自分たちの手足を縛ることにもなるのです。法整備をするとすれば十分な国民的な議論が必要になるでしょう」(清水弁護士)

 意見を言うのは自由。ただ、プラットフォーム側の規制が緩いからといってその自由を振りかざし、それが行き過ぎたときにどんな社会が待っているのか。投稿する側も、自分が書き込もうとしている言葉の重みを考える必要がある。

(AERA dot.編集部・國府田英之)

著者プロフィールを見る
國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

國府田英之の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
防災対策グッズを備えてますか?Amazon スマイルSALEでお得に準備(9/4(水)まで)