ryuchellさん(撮影写真映像部・松永卓也)
ryuchellさん(撮影写真映像部・松永卓也)
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 タレントのryuchellりゅうちぇる)さんの訃報を伝えたインターネットの記事のコメント欄には、悲しみの声があふれる一方で「無責任」「自由人すぎ」といった批判的な言葉も散見された。そもそも、自殺など人の「死」に関する記事に、炎上しがちなコメント欄は必要なのか。ネットの中傷問題に詳しい弁護士に見解を聞いた。

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 7月12日に亡くなったryuchellさん。Yahoo!ニュースに掲載されたryuchellさんの死去に関する記事のコメント欄には、悲しみの声があふれた。

 また、ryuchellさんは2022年8月、自身の性自認にかかわる悩みを告白し、妻のpecoさんとの婚姻関係の解消を発表した。それ以降、家族との関係についての記事などで、ryuchellさんへの中傷ともとれるコメントが続いていたことから、そうした投稿を批判したり自制を求めたりする内容の投稿も数多くあった。

 その一方で、死因などが明らかになっていない状況にもかかわらず、

「無責任」「最後の最後まで自由人すぎ」「親の意識が欠落している」「自分のことしか考えてない」

 といった批判的な内容や、「最初からナヨナヨしたヤツやなぁと思ってた」といった故人をけなすような投稿もあった。

■携帯電話番号の設定を義務化で減少も

 2007年から始まったYahoo!ニュースのコメント欄、通称「ヤフコメ」。建設的な意見もあるが、一方で誹謗中傷や他人をおとしめるようなコメントが殺到するなど、炎上が問題視されてきた。

 ヤフー側もマンパワーに加え、AIで不適切投稿のパトロールをしたり、問題投稿が多い場合、コメント欄を非表示にしたりする機能を導入した。

 さらに昨年11月には投稿停止措置を受けた人物が別アカウントから投稿することを防ぐため、携帯電話番号の設定を義務化し、その結果、悪質投稿者が56%減ったと今年2月に公表した。

 ただ、この数字を成果と見るかについては意見が分かれた。

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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