“二刀流”で唯一無二の活躍を続ける大谷翔平選手。数々の偉業を成し遂げた陰には、高校時代に出合ったメソッドの存在がある。「マンダラチャート」をもとに作られた目標達成シート「オープンウィンドウ64」だ。中心に目標を書き、この目標の周りに目標達成のために必要な八つの思考を足していく。さらに、これらの思考に対して、より具体的に行動すべきことを八つずつ書き、64マスを埋めていくというもの。このシートは、スポーツだけでなく、趣味を深めるためにも活用できる。AERA 2023年7月24日号の記事を紹介する。
* * *
シートを活用して日々が充実した人も。
男子プロバスケットボールリーグBリーグのチェアマン(代表者)、島田慎二さんは22年の正月にワークシート作りを始めた。Bリーグの顔としてあいさつすることが増えたし、レギュラー出演するポッドキャスト番組も始まった。忙しい中でも知りたい情報を明確にして、効果的にインプットすることでアウトプットの質を上げることが目的だ。
「本業」であるバスケではない。あえて自分の趣味を豊かにすることにした。だから、シートの中心に書いた目標は、「自分が欲しい情報」で、周りに書いたのは「英会話」「ビジネス」「地方創生」「健康」「グルメ」「酒」「旅」「エンタメ」だ。
「英会話」の周りには、「NHK」「文法」……と並ぶ。チェアマンとしてはもちろん、旅行でも英語を使いこなしたい。そこで、NHKの英語講座を毎日見て勉強すると決めている。
趣味のエンタメも本気で深めることにした。演劇や落語、映画などに「いつか行きたい」ものの、忙しくて行けなかった。
思い切って、「いつ行く」と決めたところ、エンタメに触れる機会が激増。映画は、映画館とサブスクでの視聴で年に30本ほど観ることができた。
「漠然と行動するのではなくて、ほしい情報を効果的に頭に入れるようになったため、目標に挙げた通り、情報のキャッチアップの質が上がりました。結果として、好きなことの知識も増えて、アウトプットすることで共通の仲間とのつながりができる。その先に、人生が豊かになっていけば良いと思っています」
マンダラは宇宙の真理を意味する。目標達成シートの中に、自分が本当に求めるものが見えるかもしれない。(編集部・井上有紀子)
※AERA 2023年7月24日号より抜粋