過去には芸能人がステマに加担していたことが大きなニュースになった。
 
 2012年12月、参加者が入札しても商品を落札することができない仕組みの「ペニーオークション」と呼ばれるインターネットオークションで手数料をだまし取ったとして、詐欺の容疑で会社員の男3人が逮捕された。
 
 同オークションでは、グラビアアイドルや女優、お笑いタレントら複数の芸能人が「こんなにも安く落札できた」などと自身のブログでペニーオークションを紹介し、ステマに加担していたことが明らかになった。
 
 最近では2年前にもテレビ局の女性アナウンサーが美容室の無料サービスを受け、見返りに自身のSNSに投稿していたことが発覚し、問題視された。
 

●ステマを依頼されたことがあるインフルエンサーは”4割”
 

 広告大手「電通」の調査では、2019年にはこれまで最多だった地上波テレビ(1兆7345億円)をネット広告が初めて上回り、21年までは首位を継続している。これに伴い、ネット広告への苦情も増加している。
 
 業界団体の関係者がこう話す。
 
「12年のペニーオークション事件から、ステマは常に問題視されてきました。ただ、本格的な取り締まりはこれまでなく、今年10月からの“ステマ規制”では取り締まり対象はあくまで広告主。いまは、ソーシャルメディアの浸透で、個々人がメディア化しており、誰もがステマに加担する可能性が生まれています。ネット広告では、新聞やTVと違い、広告の基準やガイドラインなどがなく、ステマのほか虚偽や誇大表現など、やりたい放題な一面がまだまだ残っています」
 
 広告主がインフルエンサーにステマをお願いするケースは、消費者庁の調査で明らかになっている。
 
 消費者庁が昨年9月に公開した「ステルスマーケティングに関する実態調査」によれば、現役のインフルエンサー300人にアンケートをしたところ、41%のインフルエンサーがステマの依頼を受けたことがあると回答。そのうち、45%がその依頼を受けたと答えた。

アフィリエイト広告への注意を促すパンフレット(消費者庁のホームページから)
アフィリエイト広告への注意を促すパンフレット(消費者庁のホームページから)
景品表示法のパンフレット(消費者庁のホームページから)
景品表示法のパンフレット(消費者庁のホームページから)
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「インフルエンサーや芸能人ら情報発信者側も規制すべき」との声も