ネット広告の会社経営者が内情についてこう語る。
 
「PRと書かない方が、商品が売れるんです。消費者の目にも留まりやすい。広告主側も商品の認知度をあげたいという思いが強くなり、ステマを依頼することに対して、『やったらダメ』という認識が薄れていく。やってはいけないという認識を持っているインフルエンサーも少ないのでは」


●行政、規制は追いつかず

 
 今回の改正で、規制の対象となるのが広告主側だけという点について、「インフルエンサーや芸能人ら情報発信者側も規制すべきでは」との声も出ている。
 
 消費者庁表示対策課の南雅晴課長は、
 
「そもそも景品表示法は商品やサービスの提供をする側、つまり広告主を取り締まる法律です。そのため、インフルエンサーや芸能人など、ステマに加担した側を取り締まることはできません。また”ステマ広告に加担した人”とひとくくりで取り締まってしまうと、広告の写真素材で使われているタレントさんも取り締まりの対象になってしまいます」
 
 と説明する。
 
 とはいえ、行政としても問題認識はあるという。
 
「昨年3月から開かれた検討会では、『もうかるから』という短絡的な理由でステマを行う情報発信者の意識の低さを指摘する声もありました。そのような情報発信者については、中長期的な課題として位置付け、今後議論を深めていきます」(前出・南課長)

 具体的な対策が出てくることを期待したい。

※景品表示法について説明している消費者庁のホームページ

(AERA dot.編集部 板垣聡旨)