米国カリフォルニア州の薬局では緊急避妊薬(ラック右上段)はこのような感じで陳列棚に/山本佳奈医師提供
米国カリフォルニア州の薬局では緊急避妊薬(ラック右上段)はこのような感じで陳列棚に/山本佳奈医師提供

 二つ目は、緊急避妊薬の処方を希望する理由として、「避妊自体していなかったから」という理由は思ったより少なく、「避妊していたが避妊に失敗してしまったから」という理由の方が思ったよりも多かったことです。「コンドームを適切に使用できていたか不安に思うことがあったから、緊急避妊薬を内服しておきたいと思った」といった声も、よく聞かれたことも印象に残っています。

 ちなみに、私が今滞在しているカリフォルニア州でも、薬局で緊急避妊薬を購入することが可能です。近所の大手薬局チェーン店では、盗難予防でしょうか、女性のヘルスに関する薬の陳列棚に、箱のみ透明のケースに入れられて、緊急避妊薬が販売されていました。価格は50ドルほどと、日本よりも安価でした。 

 女性が緊急避妊薬を入手する上でのハードルを下げ、アクセスしやすい環境を整備することは、女性がからだを守る上でとても重要なことだと私は思います。その点において、他国よりも遅れをとっている日本において、緊急避妊薬を処方箋なしに処方する調査を開始するという政府の方針は、大きな一歩だと思います。

 一人の女性として、1日も早く、日本において、すべての女性が緊急避妊薬まで容易にアクセスできる環境が整うことを切に願っています。

山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師。医学博士。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。2022年東京大学大学院医学系研究科修了。ナビタスクリニック(立川)内科医、よしのぶクリニック(鹿児島)非常勤医師、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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