タイトルから、誤解してはいけない。会社を辞めて、専業主夫になることを男性に推奨する本ではない。著者も妻が小学校教諭で自身は作家と主夫の二足のわらじを履く。夫婦の働く環境の変化に臨機応変に対応できる「新しい家族のあり方」のヒントが詰まっている。
写真入りでの主夫の一日や、生活を綴ったエッセー、主夫のお悩み相談室と題されたQ&Aコーナーを読み進めると、多くの男性には想像が難しい「主夫」のリアルな姿が見えてくる。
家事を「手につける職としては最高」と評価する。労働環境が不安定な現代においては、会社に依存しすぎるのは危険だ。2枚目の名刺として「主夫」は意外にも現実的な選択肢なのかもしれない。
「用意周到に進めようとせずに、相手の足りない部分をおぎなっていく」。肩に力を入れず、自然と主夫になっているのが理想と説く。「女性が輝く社会」の実現を政府は打ち出しているが、実現には男性の意識変化こそ不可欠である。本書はその処方箋となりうる言葉がちりばめられている。
※週刊朝日 2015年3月20日号