合意書には、
<1988年に信者となり、信仰にもとづいて貸し付けをしたが、返済ができておらず、借入金を返還してほしいと求めた。数回の話し合いを行い、その結果、下記の通り合意した>
<解決金として1500万円を支払う。支払い方法は3回に分割>
などと支払い条件が記されている。
旧統一教会に「カネを貸してほしい」と言われて貸し付けた5880万円は、借金をして工面したという。
「最初は親族から借りていて、うちは『おかしい』と言って断りました。そのうち親族からも不審がられ、今度は経営していた工場の得意先からも借金をはじめました。それでも追い付かなくなり、クレジットカードや消費者金融などで借りて、それを旧統一教会に貸すという自転車操業になったのです」
とBさんが説明する。
2021年9月にも100万円をクレジットカードのローンで借りて、旧統一教会にまた貸ししているという書類も残っていた。
現在も毎月クレジットカード関連で5万円ほどを返済しているというAさん夫妻。国民年金が生活の糧なので、わずかに残った数万円でギリギリの家計だという。
●倉庫を改装して教会支部に
Aさん夫妻が旧統一教会と接点を持ったのは1987年。突然、自宅を訪ねてきた旧統一教会の男性信者に「手相を見せてください」と言われたのがきっかけだった。
「転換期にきている。身内に何かないか」
「悪い先祖の霊を解放しなければならない。先祖供養をしないと悪い運勢が家族にいく」
などと恐怖心をあおられ、入信してしまった。
その後、旧統一教会の本部がある韓国・清平へ何度も行った。1996年に「親族がバイクで事故にあった」と相談すると、
「恨みをかっているからだ。お父様とお母様(文鮮明、韓鶴子夫妻)のおかげでその程度のけがですんだ。保険金は全額寄付すべきだ」
と説得され、保険金300万円はすべて旧統一教会に持っていかれたという。