河野太郎デジタル大臣が迷走し始めた。マイナンバー制度について河野大臣は「制度に問題はない」と強気の発言を繰り返してきたが、その後、データの誤登録など多数のトラブルが発覚。政府はデータの総点検に乗り出したが、河野大臣が2日に出演した番組で名称の変更について言及し、SNSでは「問題はそこではない」などと大炎上した。専門家からは「総理の器ではない」と厳しい声が上がっている。
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マイナンバーカードの問題が発覚する前、河野大臣は強気の発言を繰り返してきた。
2月24日のデジタル大臣の記者会見では、週刊新潮が掲載したマイナカードの設計不良を指摘する記事に対して見解を求められた際、河野大臣は「コメントに値しない」「読んでいない」と切り捨てた。
3月27日には横浜市でマイナカードを使って証明書交付サービスを利用した人に、別人の住民票の写しなどが誤って発行される問題が起きた。これに対しても河野大臣は31日の記者会見で「横浜市の証明書発行サービスのアプリケーションの問題で、マイナカードそのものや情報連携の仕組みの問題ではない。マイナカードの信頼性に影響するものではない」などと発言した。
その後、川崎市(神奈川県)や足立区(東京都)などでも誤交付が発覚。さらに5月12日には健康保険証として使える「マイナ保険証」で、別人の情報が登録されている事例が、7279件あったことが判明。別人の情報が閲覧可能になっていた。その後も同種の問題が散発的に明らかになる事態が続いた。
■強気の姿勢から
こうした状況を受け、岸田文雄首相は5月25日、全てのデータやシステムの再点検を指示した。他方で、河野大臣は6月1日に出演したテレビ番組で、マイナカードの制度やシステムの問題ではないとしたうえで、「人間が作業をやったことによるヒューマンエラーでした」と強気の姿勢を崩さなかった。