■問われる責任
角谷さんが注目するのは、河野氏がワクチン担当大臣だったときの発言だ。
ワクチン接種を進めていく際には「自治体がやったことで(厚労省から)批判があれば、それは私が責任を取ります」「私が全ての責任をとる」などと発言し、賞賛の声が出ていた。
しかし、その後、SNSなどでワクチン後遺症の責任を追及されると、今年1月に自身のブログで、「(ワクチンの)『運び屋』の私が『後遺症について』責任をとるなどという発言をしたことはありません」と自身の責任を否定。「法的手段を検討します」と凄んで見せた。
角谷さんはこう語る。
「ワクチンをめぐる言動でもそうでしたが、都合が悪いところを突かれると保身に走るところがある。困っている国民に寄り添った発言ができないのは、覚悟ができていないからでしょう。『制度に問題はない』『新しい誤登録は起きない』などと啖呵を切っておきながら、『民主党政権がつくった制度』『名前をやめたほうがいい』などとマイナンバーの担当大臣が言い始めたら、制度を信頼するのは無理です」
今後、マイナンバー情報総点検本部では8月上旬までに中間報告をし、今秋までに総点検を終えるという。この時期について、角谷さんはこう指摘する。
「河野大臣が『名前をやめる』発言をしたとき、松野官房長官は『発言は個人的な見解』として、本人に真意を確認することもしないと述べました。本来であれば、この対応は考えられない。私はこの発言を聞いて8月の中間報告まで自由にやらせようとしていると感じました。つまり、中間報告後に内閣改造をし、そこで河野さんは交代ということです。さすがにここまで問題が大きくなり、デジタル大臣の責任は免れることはできないでしょう」
河野氏は、制度だけではなく、自身の信頼も取り戻す必要がありそうだ。
(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)