
しかし6月4日には、政府からの給付金を受け取るためにマイナンバーとひもづけた預貯金口座が、別人や本人でない家族名義の口座になっているケースが多数あることが発覚。別人の誤登録が748件、家族名義が約13万件にも上っていた。
この問題についても河野大臣は「誤登録とか、誤ったひもづけではない。登録した本人が意図してやっている。ヒューマンエラーでもシステムのエラーでもない」などと答えた。
12日の参議院決算委員会で河野大臣は「新しい誤登録は起きない」と断言したが、その後、別人の誤登録が940件、家族名義が約14万件にまで拡大した(7月5日時点)。
誤登録が増え続けていく問題を受けて、岸田首相は6月21日に「マイナンバー情報総点検本部」を設置。デジタル庁だけではなく、総務省、厚生労働省の3大臣に「総点検」を指示した。
■広がる国民の不安
ここまで強気な発言が目立っていた河野大臣だが、ここに来て、責任転嫁するような発言が飛び出している。
報道によると、25日には新潟県での講演で、「マイナンバー制度は民主党政権が作った制度。作ったときの人が『一回立ち止まれ』みたいなことを言うと、『いやいや、お前が始めたんだろ』と言い返したくもなる」と発言。さらに7月2日に出演したテレビ番組では「次にカードを更新する時にはマイナンバーカードという名前をやめたほうがいいんじゃないかと私は個人的に思っている」などと述べた。
一連の問題を受けて、国民の間に不安が広がっている。朝日新聞社が6月17~18日に実施した世論調査では、マイナンバーの利用範囲の拡大について「不安の方が大きい」が73%となった。Twitterでは「#マイナンバーカード返納運動」というワードがトレンド入りするなど反対運動まで起こっている。
専門家はどう見ているのか。
政治ジャーナリストの角谷浩一さんは「総裁選に出る人間としては問題のある言動を繰り返している。首相の器ではないと感じる」と厳しい評価だ。