大宮エリーさんと高田万由子さん(写真:本人提供)
大宮エリーさんと高田万由子さん(写真:本人提供)
この記事の写真をすべて見る

 作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。今回は高田万由子さんとの対談を振り返ります。


*  *  *


 この連載で東大の受験のことを話してくれたのは高田万由子さんが初めてかもしれない。今までは、どう勉強したか忘れている方や、家から近かったから受けた、みたいな天才、そして普通に勉強して受かったという秀才が多かった。“なんちゃって東大”の私は、「さすが東大」と思うことが多かった。


 万由子さんは、そういう意味で誰とも違っていて、計画して、傾向と対策をがむしゃらにやって合格しました、と言う。気持ちが良く、清々(すがすが)しい人だった。受験の理由も、受からないって言われたから一番の大学に受かってやろうじゃないか、と。動機が漫画みたいで面白い。


 万由子さんは俳優として有名だけれど、今は旦那様の葉加瀬太郎さんのプロデューサーとして活躍されている。それも、受験勉強時代から一貫したものを感じるので、これまた頼もしくてかわいいなって思った。


 大人の女性にそんなふうに言うのはおかしいかもしれないが、人がぶっちゃけて一生懸命な姿ってなんだか可愛い。ぶっちゃけすぎて誤解されることもあるのかもしれないが、それすらも、別にいいとあっけらかんとしている、その強さにも憧れた。私なんぞはすぐぐじぐじくよくよしてしまう。こんなこと言ったらどう思われるかしらと。だから、ものづくりをしているのだ。自己プロデュースができない。意外と自分のことがわからない。


 万由子さんは東大生の中でもすごく頭がいいと思った。先見の明があるのだ。割り切りが早いし、自分の気持ちに正直に行動できる。裏方がいいと、スパッと表舞台から引っ込んだり。あ、もちろん俳優業もされているのだとは思うけれど。


 そして、「あ、こうした方がいい!」というのがすぐわかる才能がある。太郎さんの才能にほれ、太郎さん以上に太郎さんの才能を信じ、世界で通用するはずだとロンドンに行くわけである。そしてコンサートは満員御礼の大成功。チラシを作ったり、スポンサーを探したり、かなり大変な作業だ。これは努力だけではできないもの。人を手繰り寄せる手腕がないと、お金も人も集まらない。

次のページ