美学とか、そんなたいそうなことは考えていないです。ただ、普通は大の大人が心血を注ぐようなことじゃないことに心血を注ぐことが、僕らみたいな仕事をしている人間の存在意義かなと。もっと言えば、俳優というのは、笑ったり泣いたり発狂したり落ち込んだり、そうかといえば何にもしないでぼーっと一点を見つめるとか、そういうことに心血を注ぐもので、冷静に考えたらおかしいですよね。でもそれをやるためには、いつまでも精神年齢を低くいられるようにするということが大事かなと。むしろ難易度が高いことなのかもしれません。
このコラムでは毎年「今年こそは飛躍したい」と、ちゃんとした大人になることを目指すわけですが、精神年齢は8歳から6歳になったり、もっと下がったりしています。もちろんそれによって、人を不快にしたり、人に迷惑をかけたりすることはダメですよ! そこをちゃんと守れば、なるべく精神年齢は若く幼くいた方が良いかなと。
――それが必要なのは、俳優やエンターテインメントだけに関わる人だけではないかもしれません。
それはコラムにも書いたことがありました。世の中の大人がみんな分別が無くて精神年齢が低かったら大変! もっと言うなら、「大人なんだからここは泣いちゃいかん」「ここは弱音を吐かない」と頑張る大人たちの姿は色気があるし、かっこいい。そういう鎧を簡単に下ろせないのが大人。
でも、自分にとってすごい大事で誠実であるべきもの、人によっては家族だったり、仕事だったり、友達だったり、趣味だったり、いくつかある人もいるかもしれないけれど、それ以外のことはちょっとふにゃっとなっていていいし、暑かったらネクタイを少し緩めてもいいんじゃないか、と書きました。
――「ふにゃけ大人の会」ですね。(『佐藤二朗が「ふにゃけ大人の会」を発足し、即解散した理由』2018年7月22日配信)
発足した4行後ぐらいにスピード解散するという……。
――そうでした(笑)。