当コラムをお読みのみなさんはご存知の通り、本当にノープランで書き始めるのですが、書いている途中で、ふにゃっとした大人ばかりだと恐ろしい世の中になるなと思ったんですよね。それに簡単に鎧を脱げない大人は、男性でも女性でもそれはそれでかっこいいなと。

――これが「佐藤二朗文学」です。

 大げさだな(笑)

――大人になっても実はみんなふにゃけていて、それをどれだけ外に出すか、心の内を漏らすかという程度が違うのだと思うようになりました。我慢してため込んで、それでも出せない人もいる。佐藤さんを見ると我慢しなくて良いと思えるし、「代理漏らし」してもらっている感じがします。

 代理漏らし! なるほど。

――日中は子育てと仕事でフル回転の人が、子どもが寝た後に佐藤さんのコラムを読むとホッとするという読者の声もありました。

 そうですか。自分と同じ大人がこんなに漏らしているのか!?と思うんですね。なんだか私、すごく下半身が緩い人みたいじゃないですか……。

――(笑)

 でも確かに、なるほどなと思います。実はみんなふにゃけているんだよね。だけど大人は漏らしちゃいけないと思うし、鎧を脱げない。一方で、俺はがんがん漏らすというね。

――ただ、真摯に仕事論を語る回もあり、その振れ幅に驚きます。

 俳優とか芸の道に生きる人間は精神年齢低くても良いという思いがあるから、僕は漏らしやすいのかもしれませんね。それが例えば、会社という組織にいれば「迷惑をかけちゃいかん」という思いが働くかもしれないですよね。

(聞き手・構成/生活・文化編集部 金城珠代)

〇佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県出身。俳優、脚本家、映画監督。96年に演劇ユニット「ちからわざ」を旗揚げ、様々なジャンルのドラマ、映画に多数出演するほかバラエティー番組や教養番組でもマルチな才能を発揮し人気に。近年では『ひきこもり先生』シリーズや大河ドラマ『鎌倉殿の13人』への出演が話題。21年公開の映画『はるヲうるひと』では原作・脚本・監督を務め、海外の映画祭で最優秀脚本賞を受賞。出演映画『リボルバー・リリー』が8月11日公開予定。

※インタビュー全編は「AERA dot.ポッドキャスト」で無料配信中

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