とはいえ、この記者会見への評価が真っ二つに分かれているのが興味深かった。日刊ゲンダイなどのオジサンメディアは、キャンドル・ジュンさん絶賛傾向である。頭を下げ、静かな口調で妻を褒める姿を「キャンドル・ジュンの寛容さ」と評価し、紙面でも、広末さんや相手の男性を「感情的」とし、それに比べキャンドル・ジュンさんが冷静であったと評価している。

 驚きである。私からすれば(というかSNS上を見る限り、おおかたの市井の女の反応は私と似たようなものではないか)、キャンドル・ジュンさんの記者会見は十分にエモーショナル、というか感情しかないものであった。広末さんの了解を得ずに記者会見を行い(と自身で言っていた)、広末さんに既に離婚を言い渡されているのに(と自身で言っていた)、広末さんがまるで情緒不安定であるかのような、一緒に暮らさなければわからない話をペラペラと語ることを、「感情的」というのではないのでしょうか。

 それでも世の男性は、妻に裏切られたにも“かかわらず”頭を下げる男性を「よくやった!」と褒めたがるものなのか。どちらにしても、今回の記者会見が広末さんの立場を良くしたとは一切思えず、そういう意味で、広末さんにとってはお気の毒な記者会見になったというのが実際のところではないか。

 数年前、既婚男性との恋愛が発覚し、一気に仕事を失ったベッキーさんが今、「自虐ネタ」をすることで居場所を取り戻すような番組出演が増えているが、もうこれ以上、そういう罰ゲームは見たくない。そんなことをしなくてもフツーに、フツーに、フツーにベッキーさんの居場所を、そして広末さんの場所を戻してあげてほしい。本来ならカウンセラーが必要なほどの消費のされ方を幼い頃からしてきた人生だ。強烈な光の中、暗闇でサバイブしなければいけない大スターとして働いてきた。そういう人を、こういう「つまずき」をきっかけに、とことん嘲笑し、改めて性的に搾取しようとする。酷すぎやしないか。

 これでは、日本では女性の俳優が成熟することが難しいだろう。日本は他の国に比べ、中年、老年を演じる女性の俳優が少ない印象が私にはあるが、息長く、女性が安心して仕事し、自身の才能を発揮できる、そういう安全な空気が芸能界にも求められているのではないか。

 広末涼子さんがいつか安心して仕事場に戻ってこられる日を、私は待っていたい。

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