では、どんな銘柄が狙い目なのか。広木さんは、トヨタ自動車やレーザーテック、東京エレクトロンを挙げる。いずれもこれまでにすでに買われているものの、「今後期待される業績改善の内容が株価には十分織り込まれておらず、なお上値の余地はある」(広木さん)。半導体市場の減速を見込む声も少なくないが、人工知能(AI)技術の進展など中長期的に成長は続くとみている。
ANAホールディングスやJR東日本といったインバウンド(訪日外国人旅行)関連銘柄も業績回復の途中で、株価は今後さらに伸びるとにらむ。「インフレに強い」とされる不動産や金融関連銘柄にも期待を寄せる。
また、広木さんは国内外で旺盛な設備投資に関連した銘柄にも注目する。工作機械用の数値制御(NC)装置や産業用ロボットなどを手がけるファナックのほか、企業のITやDX投資の取り込みが期待されるオービックを挙げた。
一方、株式評論家の坂本慎太郎さんが注目するのは、石炭や石油などの燃料価格のピークアウトで業績改善が見込める電力株だ。
「発電した電力に占める原発の割合が大きい関西電力は、電力会社の中でもいち早く改善が見込めます。石炭火力発電の比率が高い北海道電力も、燃料価格の下落で恩恵を受けやすいでしょう」(坂本さん)
足元の上昇相場に出遅れた形の中小型株に目を向けるのは、いちよし証券投資情報部の宇田川克己・銘柄情報課長だ。
「決算の発表時期や、その会社を担当するアナリストの数のギャップもあって、大型株とは業績の内容が株価に反映されるまでに時間差がある。中小型株に投資家の目が向き、本格的に買われるのはこれからが本番」
ひと口に中小型株といっても、いろいろだ。宇田川さんが挙げる銘柄は、特徴的なビジネスモデルを持っていたり、インバウンドや脱炭素といった息の長い成長が期待できたりするものが多い。