一人暮らしが難しくなった親の施設選び。ほとんどの家族が、パンフレットを入手し、実際に足を運んで見学し、面談を重ねます。そしてようやく決定した施設にいざ入居、というそのとき、「条件に合わない」と入居を断られる事態に。そんなときどうすればいいのでしょうか。その施設をあきらめるしかないのでしょうか。介護アドバイザーの高口光子さんにうかがいました。
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■「おかあさまの現状では入居は不可能です」
親にとってベストな施設はどこか。
いろいろな条件を書き出して、たくさんのパンフレットを熟読し、休日にはいくつもの施設を見学して面談。譲れる点・どうしてもこだわりたい点を見直し、翌週もまた見学、面談。そしてようやく「ここならば、おとうさん(おかあさん)が自分らしい落ち着いた生活を送れるだろう」と思える施設を決めることができました。
ところが、いざ入居となると、すんなりことが運ばないケースも少なくないのです。以前、相談を受けたケースも、そんな一例でした。
一人暮らしをしていた81歳の母親が転倒して大腿骨(だいたいこつ)を骨折し、入院。50代の女性(娘)は新幹線で週末ごとに帰省して看病していましたが、母親は認知症の症状が出始め、自分で食べることが難しい状態になっていったといいます。
かつて女性の父親が入っていたグループホームが本人にとって居心地がよく、サービスも丁寧で好印象をもっていたことから、女性は「母も認知症になったら、ここで暮らさせてあげたい」と、ホームの担当者に相談をしていました。
母親の退院を控えて、一人暮らしは無理と判断し、そのホームにあらためて入居希望を出したところ、思わぬ返答をもらったといいます。それは、「おかあさまの現状では、入居はできかねます」というものでした。
■痰(たん)の吸引や胃瘻(いろう)がネックになることも
「高口さん、どうしたらいいんでしょう、入居をあきらめなければいけないのでしょうか」。途方に暮れた女性は、私のところに連絡してきました。