アンバサダーと企画し商品化したバッグ(2022年作)。「ハイジ」柄の地が無地からチェックになり話題に。(撮影:岡田晃奈)
アンバサダーと企画し商品化したバッグ(2022年作)。「ハイジ」柄の地が無地からチェックになり話題に。(撮影:岡田晃奈)

――今、力を入れていることはありますか。

「共感」の次のステージとして、お客さまと一緒にフェイラーをつくり上げていく「共創」に取り組んでいます。毎年アンバサダーを募り、現在333人の方が活動してくれています。2020年から、フェイラーのデザイナーと一緒に商品を作るプロジェクトも始めました。昨年は有志のアンバサダーと、8カ月ほどかけてハイジ柄のバッグを完成させたんです。もともとハイジの地の部分は無地ですが、チェック柄にするというマイナーチェンジを起こし、話題になりました。

――実際にリブランディングでの変化は感じていますか。

 中心層は完全に30~40代に変化してきています。SNSもそうですが、お母さまが使っているということも強力な口コミです。お母さまから娘さんへ、さらには、スタイやおくるみなど、赤ちゃんのためのアイテムも揃えていますので、またそのお子さんへと、フェイラーの魅力がさらに世代を超えて継がれていったらうれしく思います。

――日本上陸100周年に向けて、どんなブランド像を思い描いていますか。

 あるお客さまが、仕事で大事なプレゼンを控え、当日気持ちがすごくナーバスになっていたそうです。日常のルーティーンで、引き出しから手にとったフェイラーのハンカチの柄に、大丈夫だと力をもらったのだそうです。もしかしたら、この力はどの柄にも言えることかもしれない。ハンカチを手にするとわくわくする、楽しくなる、癒やされるといった情緒的価値こそ極め続けなければならない。少しでも知っていただきたく、昨年には表参道駅構内をジャックし、フェイラーのハンカチ100枚を展示しました。

 日常は楽しいときばかりではない。誰にでも喜怒哀楽があるなかで、フェイラーがそっと寄り添い、ときには力になる。ささやかながらも、そういった存在になることこそ、価値があると考えています。

(構成/AERA dot.編集部 市川綾子)

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