離乳食を卒業しても、幼児が大人と同じ食事を摂れるようになるまでには、まだまだ時間がかかる。家事や仕事に追われる忙しい毎日、栄養のバランスを考えながら1日3回、大人用とは別に子ども用の食事まで作るのは一苦労だ。
女子栄養大学で生涯学習講師を務める管理栄養士の牧野直子さんが監修し、牧野さんと、同じく女子栄養大学で生涯学習講師で管理栄養士の小池澄子さんが料理を担当した書籍『改訂新版 この1冊であんしん はじめての幼児食事典』は、幼児食でも「作り置き」を提案している。3つのコツを押さえておけば、手間も時間もカットできる。
ここでいう「幼児食」とは、離乳食が完了する1歳半前後から就学前の5、6歳くらいまでの子ども用の食事のこと。この時期の子どもはまだ、長い麺は吸い込めず、ハンバーグも切り分けることができない。子ども1人ひとりの発達に合わせて、形やかたさ、味付けを調整した段階的な食事が必要だ。
幼児食には、成長に必要な栄養を摂り健康な体を作る、味覚や噛む力を育む、そして自分で食事ができる楽しさを味わう役割がある。子どもが未知の味、においを体験し、「食べ物はおいしい」と感じ、大人の食事ができるようになるまでの大切なステップとはいえ、毎日3食、子どもの用の食事を大人と作り分けるのは、想像以上に手間がかかる。そこで重宝するのが「作り置きおかず」だ。
小さな子どもに作り置き……と思うかもしれないが、日持ちするようにしっかり火を通し、加熱後は粗熱を取ってから保存容器へ入れる、などのポイントを押さえれば大丈夫。保存容器や調理道具を清潔に保つことも大前提だ。作り置きおかずを冷蔵庫に常備しておき、時間がなくてもパパッとおいしい食事を作ることができる、3つのコツを押さえておきたい。
【コツ1】 のせるだけ、まぜるだけの常備菜
ご飯や麺類にのせるだけ、まぜるだけで一品できあがる常備菜を作っておく。例えば、焼いた甘塩ざけの皮と骨を取り除き、ほぐしただけの「さけフレーク」は、おにぎり、チャーハン、パスタといった主食だけでなく、サラダや炒め物にもアレンジ可能だ。これひとつで味が決まるので、“おかずの素”としても活躍する。
【コツ2】 ソースをアレンジ
「トマトソース」や「ホワイトソース」は、シチュー、グラタン、パスタなど、さまざまな料理に活用できる。子ども好みの味でボリュームのあるメニューに仕上がるので、多めに作っておくと便利。冷蔵で3~4日、冷凍で2週間ほど保存が可能だ。