息子の失態をかばい続けた父親も、今回は厳しかったようだ。岸田文雄首相は5月29日、長男で政務秘書官の翔太郎氏の「更迭」を発表した。昨年末に公邸でどんちゃん騒ぎをしていた様子が報道され、世論調査の結果が大きく影響したようだが、辞職時期を誤ったのでは……。
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「公的スペースの使用が公的立場にある秘書官として不適切だった。けじめをつけるため交代させる」
岸田首相は官邸で、記者を前に厳しい表情で説明した。
翔太郎氏は昨年12月、首相公邸で親族らと忘年会を開き、記者会見で使うマイクを置く演題でポーズを決めたり、組閣時の“ひな壇”に並んで記念撮影したり、赤じゅうたんの上で寝っ転がってアイスクリームを食べたりしている写真が週刊文春で報じられ、ネットなどでも大きく炎上した。
翔太郎氏をめぐっては、今年1月に岸田首相の欧米5カ国歴訪に随行した際に、公用車を使って観光地をまわり、お土産を“爆買い”していたなどと週刊新潮に報じられ、このときも大きな批判にさらされた。このとき岸田首相は、そうした行動を「公務」とし、特に厳しい対処はしなかった。
5月26日の参院予算委員会でも野党から「更迭はしないのか」と問われた岸田首相は、「不適切だった」と認めるも「厳重に注意した」との対応にとどまった。
昨年10月に政務秘書官に就いた翔太郎氏だが、すでに2度目の失態に自民党の世耕弘成参院幹事長は、
「3度目はないように」
などと苦言を呈した。
一方、当初は「厳重注意」として、再び翔太郎氏をかばう姿勢を見せていた岸田首相が更迭に踏み切ったのは、世論調査の結果が大きく影響したようだ。
5月27、28日の各紙の世論調査では、日経新聞で5ポイントの減。朝日新聞では、翔太郎氏の今回の行動について、「大いに問題だ」44%、「ある程度問題だ」32%と、全体の8割近くが「問題あり」という結果となった。