写真はイメージ/Gettyimages
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 毎回同じ何とも言えない感覚に襲われるものの、時間が経てば落ち着いてしまうのと、言葉で表現しにくかったこともあり、誰かに相談することはありませんでした。初発から2年後、大学4年生の後期になり精神科でパニック発作に関する疾患の概念を学び、その時初めて自分に起きている症状がパニック発作であると理解することができたのです。

 パニック発作とは、極めて強い苦痛や不安、恐怖などが突然現れ、短時間で治まる発作のことで、胸の痛みや窒息感、めまいやふらつき、非現実間や違和感、吐き気や動悸、息切れや発汗、ほてりや震えなどの身体症状や精神症状を伴うことが知られています。パニック発作が繰り返し生じることで、将来の発作に対して過度の不安を覚えるようになったり、発作を引き起こす可能性のある状況を回避するための行動変化がみられたりする場合を、パニック症(パニック障害とも言う)と呼びます。

 MSDマニュアルによると、パニック発作はよくみられる症状で、1年間で少なくとも成人の11%が経験しているといます。ほとんどの人は治療をせずにパニック発作から回復しますが、一部の少数の人において、パニック症に進行するようです。ワシントン大学のハーバービューメディカルセンターのPeter教授らによると、パニック症は一般的な精神疾患であり、人生のある時点において、人口の5%が罹患すると言われているといいます。パニック症は女性に多く、男性の約2倍の頻度で発生し、一般的に青年期の終わり頃から成人期初期に発症することが知られています。

 パニック発作の症状は通常10分以内に最高潮に達し、数分で消失します。その後は、パニック発作がまた起こることに対する恐怖心が残るものの、それ以外の症状はほとんど残りません。私も、巨大な何かに後ろから追いかけられているような感覚がしばらく続くも、その感覚は急に消え、不安に思う気持ちだけがなんとなく残ります。しかし、時間が経てば、その不安さえも消えてしまうため、病院に受診することはありませんでした。

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パニック発作は不意に理由なく