牛のタタキで一杯。焼いた長ネギで一杯。おいしい酒肴があれば、お酒もより一層すすむものです。



「お気に入りの酒と酒器、そしてちょっとした旬のつまみがあればそれだけで幸福」と言うのは、自称「酒と肴とジャズを愛する呑兵衛な漫画家」のラズウェル細木さん。

 

 本書『ラズウェル細木のいざ晩酌!! 』では、海の幸、山の幸、旬のもの......と、お酒がすすむ数々の酒肴の作り方が、その一品を巡るエピソードと共に綴られていきます。



「酒の肴にするには、まず酒に合うか、が第一ですが、季節感を大事にする〝日本料理″として考えると、時季が重要であるわけですね。〝走り・旬・名残り″なんて風雅な言葉も肴になるわけです」(本書より)



 近所で手に入る、旬の魚や野菜を使った肴。少しずつ春の気配の漂ってきた今の季節ならば、どのようなものがあるのでしょうか。



 たとえば、春にふさわしい肴として紹介される食材は、「春の使者」という風流な呼び名のあるという、フキノトウ。春の訪れを告げるフキノトウは、苦みが酒を誘い、まさに酒の呑みのためにあるような山菜だといいます。



 天ぷらや白和えもいいですが、ラズウェル細木さんのオススメは、フキノトウ味噌。その作り方「そのままザクザクと刻んで、旨い味噌と砂糖、味醂で和えるだけ」(本書より)と、簡単なもの。



「春がくるからこのほろ苦さが嬉しいわけで、やっぱり、旬を味わうもんです。まだ、寒いけど春を感じてあえてぬる燗で。この苦みはやっぱり早春の味です」(本書より)



 さらに春から季節が進み、初夏に肴にしたい食材は、シンコや新イカ。そして冷酒に合うアユ。日本酒には、ホワイトアスパラガスもまた合うのだといいます。太めの生のホワイトアスパラガスをピーラーで削り、お皿に並べラップをかけてレンジへ。そして温かくて柔らかくなったところをポン酢につけて、日本酒と共に。あるいは、生のホワイトアスパラガスはシンプルに焼くだけでも美味しく、火を通すことでアスパラ独特のえぐみが旨味に変わるのだそうです。



 手軽に作れる酒肴の数々。お酒のお供に、ぜひ作ってみてはいかがでしょうか。