「1月の歌舞伎座公演の時ですね。午後7時頃、急に電話があり、4~5人で来ましたよ。2階でみんなで食べてました。元気な様子だったのに、こんなことが起きてびっくりしてます」
◇梨園のスキャンダルは珍しいことではないが
両親は布団がかけられた状態で2階で発見され、猿之助さんは地下室で倒れていた。両親の死因は向精神薬中毒とみられている。
事件の真相は明らかになっていないが、猿之助さんの精神面に少なからず影響を与えたと思われるのが18日に発売された雑誌「女性セブン」(小学館)の報道だ。同誌では、スタッフや共演者、弟子へのハラスメント疑惑が掲載された。暴言を吐くなどのパワハラに加え、優越的な立場を利用した性的な強要があったという衝撃の内容で、発売前の同誌の取材に対し猿之助さんは「答える義務はありません」と答えたという。
報道の内容が事実なのか、事件の引き金が女性セブンの報道だったのかはわからない。ただ、報道と事件のタイミングから考えると、まったく影響がなかったとはいいきれないだろう。
一方、梨園のスキャンダルは珍しいことではない。例えば、中村芝翫(しかん)はたびたび不倫報道がされているほか、市川海老蔵も隠し子がいたことが報道で明らかにされている。業界に詳しい関係者は「歌舞伎界には昔から性に寛容なところがある」と話す。
「歌舞伎では男性が女形(女性の役)を演じるため、男女両方の芸を訓練していきます。その中で、性的な好みが男性や女性を行き来することがあります。歴史をひも解くと江戸時代に女形の修行の一環として少年が男性と関係を持つことが行われていました。今なら犯罪ですが、当時はこうしたことも芸の肥やしとされていたという歴史があります」
今回の事件では、父・段四郎さんと母親も亡くなっている。目立った外傷などはなかったとされる。世間では「なぜ両親も」といぶかしむ声があがっている。先の関係者は「『猿之助』の名前を汚すことに対して、申し訳ない気持ちを強くもってしまったのではないか」と、親子の心境を想像する。