熱心に招待者の話に耳を傾ける天皇皇后両陛下(代表撮影/JMPA)
熱心に招待者の話に耳を傾ける天皇皇后両陛下(代表撮影/JMPA)

 そして、陛下と雅子さまの「共働きスタイル」も見えた。過去の園遊会の映像を見ると、上皇さま美智子さまは「2対1」と「1対1」、二つのスタイルで臨んでいた。「お二人ご一緒に、1人の招待者と話す」が「2対1」、「それぞれが、1人の招待者と話す」が「1対1」。すべてを見たわけではないが、令和が近づくにつれ「2対1」になっていったようだ。

 陛下と雅子さまは、「2対1」だった。それを「共働きスタイル」と表現したのは、信頼しあった仲間同士の仕事の進め方のように見えたからだ。陛下はいつも雅子さまのことを「日々の活動を支えてくれる大切な存在」と述べる。その具体的な形に接した気がした。口火を切るのこそ陛下だったが、ほかに決まりごとはないように見えた。お二人がお互いに質問を補ったり、別の話にもっていったり。自由自在なスタイルが心地よかった。

 強い雨音もあり、すべての音声が聞こえたわけではないことをお断りしたうえで、卓球の伊藤美誠選手とのやりとりを再現してみる。まずは陛下が「とても素晴らしかったですね」とたたえ、「いろいろご苦労も多かったのではないですか」と尋ねた。それを受け、伊藤さんが「コロナ禍での五輪と金メダル」について話すと、雅子さまが「ずいぶん小さい時からすごくたくさん」と話を振った。元卓球選手の母がコーチだった。そのことを踏まえての質問に、伊藤さんは「2歳ぐらいからお母さんと一緒に」練習し、今もご飯を炊いてくれると説明した。すると雅子さま、「お母様が作られたおにぎりを」と話を促した。

 それを聞いた伊藤さんが、「そうなんです」とうれしそうに言って、そこから「お母さんトーク」になった。一口サイズのちっちゃいおにぎりを作ってくれる、それを試合10分くらい前に食べる、卓球の試合は長くなることがあるからで、1時間でも持つように「お母さんがいつもがんばって、朝早くからでもやってくれます」。そう一気に語り、ふふふっと笑みをこぼした。

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