およそ4年半ぶりに開かれた園遊会。マスク越しではあるものの、天皇皇后両陛下が招待者と対面で言葉を交わした様子から、コロナ禍を脱した社会の明るい兆しを感じた人も多いだろう。これからの令和の皇室の在り方について、コラムニストの矢部万紀子さんが考察した。
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コロナ禍や代替わり儀式でずっと中止されていた春の園遊会が5月11日、東京・元赤坂の赤坂御苑で開かれた。令和初の園遊会はあいにくの雨に見舞われたが、園遊会というのは招待された人、されていない人、どちらにとっても皇室というものを近く感じる機会になるのだと実感した。
春と秋の年2回、当たり前に園遊会が開かれていた頃はそんなふうにとらえてはいなかった。4年半ぶりの開催だから、天皇陛下と雅子さまと招待者とのやりとりを追いかけることにしたのだ。お二人をリアルに目にする機会がほとんどない。そんな期間を経て実現した、お二人の肉声を聞ける貴重な場だからだ。
1000人余りが出席、4時間ほどの会だったというが、私がニュース映像で追いかけた範囲では音声込みでカメラが映したのは15分ほど。歌舞伎俳優の片岡仁左衛門さんから元車いすテニス選手の国枝慎吾さんまで、5人の招待者とのやりとりだった。見て、聞いてわかったのは、陛下と雅子さまの「今」だった。そして皇室の「これから」を考えるヒントも、垣間見ることができた。
うれしかったのが、雅子さまの水色の訪問着だった。というのも、2022年12月から23年1月にかけて雅子さまのファッションがずっと白っぽかったのだ。仕事をしている人ならわかっていただけると思うが、通勤服を選ぶのが楽しいのは仕事も体も調子のいい時、そうでない時は面倒なばかりだ。12月9日のお誕生日から新年一般参賀(1月2日)、歌会始の儀(18日)、福島県とつないでのオンライン交流(25日)などなど、白続きの雅子さまが心配だった。
それが、この日は水色。さらに鮮やかな花菖蒲と菊が描かれていて、「花の絵柄は金の縁がアクセント」という解説記事も読んだ。心が弾んだ。詳述しないが、金色は雅子さまの勝負色と思っているからだ。水色プラス金を選んだ雅子さま、前向きなのだ。