
夜は焚き火を楽しみながら、お酒を飲む。基本的に午後10時頃キャンプ場は消灯。ごみは持ち帰らなければならないキャンプ場が多いため、翌朝、いかにごみを小さくして持ち帰るかがカギとなる。荷物が少ないと、帰ってからのメンテナンス作業が少なくて済む。たかにぃさんはこれだけのアイテムでキャンプに行く。【写真】40リットルのバックパックに入る量だ。
「あまり軽量化しすぎるのはよくないですが、電車移動をするとなるとバックパックが大きいと迷惑をかけてしまうこともあるので、手ごろなサイズにできたほうがいいかなと思います」
■出張にも応用可能
荷物の軽量化は、キャンプ以外でも応用できる。例えば出張の時。不安だから多めに持っていきがちだが、その分、物を管理しなければならない時間が増える。頭の中で整理ができず、ホテルに置き忘れが起こりやすい。無駄な物を持っていかない意識を持つことが大事だが、他にもポイントがある。
「カテゴライズすると忘れないと思います」
たかにぃさんは持ち物を「寝る」「食べる」などカテゴリーごとに整理し、袋を分けて収納している。コンセント付きのモバイルバッテリーなど、「一つ二役」の道具もコンパクト化につながる。
「でも、僕も忘れ物をちょくちょくします。お箸とスプーンを持っていくのを忘れて困ったこともあります」
そこで実践しているのが、チェックリストの作成だ。キャンプに慣れた今でも、チェックリストを見ながら作業する。
たかにぃさんはULキャンプの実践が高じて、今春から自宅を持たず転々と移動する「アドレスホッパー」の生活をしている。もともと自由に旅をする生活に憧れがあったが、ハードルが高かった。踏み出したきっかけは昨年、アメリカに行って山で一人旅をしたこと。英語は苦手だったが、340キロのロングトレイルコースを歩くことができたのが大冒険だった。
「それで、今までためていた『やってみたいこと』をポンポン実現していきたいと思ったんです」
帰国してすぐに、住所を捨てようと思った。荷物もキャンプ道具もロードバイクも軽バンに詰めて、生活をしている。身軽なキャンプを通じてアウトドアの幅が広がったが、今度はアドレスホッパーの生活を通して、さらに幅が広がった。
移動先の土地で、いい景色、おいしい食べ物にめぐり合う。ここにアウトドアをどう組み合わせたら面白いかなと想像している。沖縄ならマリンスポーツ、九州なら地形を楽しむために自転車に乗ってキャンプをした。自分の定番とは違うキャンプを楽しめる。
「視点が変わるから、そこにしかないものを発見しやすいんじゃないかと思うんです」
(編集部・井上有紀子)
※AERA 2023年7月3日号