コロナ5類移行に伴って、新規感染者数は定点把握に変わった。毎週少しずつ報告数は増えてきている
コロナ5類移行に伴って、新規感染者数は定点把握に変わった。毎週少しずつ報告数は増えてきている

 新型コロナウイルスが5類に変わって感染者の全数把握が無くなり、実態は不明だが、じわじわと微増傾向が続いている。常在する状態、エンデミック化が進んでいるとみられる。AERA 2023年7月3日号から。

【図表】新型コロナウイルス 新規感染者の推移はこちら

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 新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5月8日に5類に変わってから1カ月半が過ぎた。心配された大型連休後の感染爆発は起きていないようだが、感染者の増加傾向は続いている。

 正確には実態は把握できていない。5類移行に伴って新規感染者の全数把握が無くなり、約5千の指定された「定点医療機関」から週1回、感染者数などの報告を受ける「定点把握」に変わったからだ。

 厚生労働省によると、5類移行時の2023年第19週(5月8~14日)の定点当たりの感染者報告数は2.63人だった。それが毎週、少しずつ増え、第23週(6月5~11日)は5.11人になった。突出しているのは沖縄県で、第23週は18.41人だった。今後、全国的に、沖縄県のように感染が増えていくのだろうか。

 藤田医科大学感染症科の本田仁教授はこう話す。

「現時点で正確に言えるのは、ここ数週間、感染者が増加傾向にあるということだけです。第9波が始まったという人もいますが、定点把握になって間もないので、全数把握していた時期と比較できないため、もう少し様子をみないと、第9波と呼ぶような流行の波が来ているのかどうかわからないと思います」

■大きな脅威にはならず

 インフルエンザなど10年以上、定点把握の対象になっている感染症とは異なり、新型コロナウイルスは定点把握が始まって間もないため、定点報告数がどれぐらいでどの程度の流行になるのかがまだよくわからない。

 また、従来から定点把握してきた感染症は水痘(水ぼうそう)や手足口病など小児がかかる感染症が多く、定点医療機関も小児科が多いため、新型コロナウイルスの定点把握が全年代の流行状況を同じように反映しているのかどうかも今後、検証が必要だ。

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