そして、ピアノを弾く坂本龍一と、その横で幸せをかみしめるようなSUGAの映像が映り、「長い旅路が平穏でありますように R.I.P. RYUICHI SAKAMOTO」というメッセージが掲示された。「Snooze(feat.Ryuichi Sakamoto, WOOSUNG of The ROSE)」の演奏が始まる。敬愛する坂本龍一とコラボレーションした楽曲を、SUGAは時折目を閉じて祈るように歌った。この曲の制作時に坂本と交わした言葉は「D-DAY」を完成させる上で重要な役割を果たしたという。
■あっという間の、幸せな時間

「皆さん、盛り上がってますか?」
この公演の間中、SUGAは何度もオーディエンスに呼びかけ、時にいたずらっ子のような表情を浮かべた。
「幸せな時間でした。あっという間の3ショーでした。明日も会いたいですね!」
「最後のステージ、全力で楽しみましょう!」
そう言ってから、「Make some noise!!!」と思い切りシャウト。本編ラストは「AMYGDALA」だった。
ビジョンには割れた鏡のような映像が映り、それは「AMYGDALA」で歌われているSUGAの引き裂かれた心を表しているようだった。ステージ上で倒れ、目をつぶったままのSUGAをダンサーが運んでいった。
■次のライブは7人で
アンコールでは、シンプルなTシャツ姿のSUGAが再びステージに現れた。
「皆さん準備はいいですか?」と、「D-DAY」のパフォーマンス中にステージからアリーナに降り、最前列のオーディエンスの手にタッチするというサプライズもあった。
「次回またライブをする際には7人で行います!」
力強くそう言い切ると、大歓声が上がった。
「本当に楽しかったです。皆さんに素敵な思い出だけが残ることだけを願っています」
そう言った後、再び呼びかけた。
「準備はいいですか?」「叫べー!!!」と煽り、BTSのソロ曲「INTRO:Never Mind」を演奏した。
アンコールの最後は、自身が傷を負った経験をラップに乗せた「The Last」。周囲をいくつものカメラが取り囲む中、歌いきった。そして、SUGAは充実した表情を浮かべ、颯爽と後ろを向き、無言で手を振り、去っていった。
ライター 小松香里
※AERAオンライン限定記事