利便性の高い場所の物件であっても、あまりにも人気が過熱することを警戒する人もいるだろう。しかし、平均値を押し上げている高価格帯のマンションにしても、その価格はバブル化していないと長嶋さんは説く。

「世界的に比較しても、日本の大都市圏におけるマンション価格は圧倒的に割安。バブル期に日本の土地の資産価値は、総額で2千兆円を超えていました。ところが、現在は約1千兆円にとどまっており、バブル崩壊から今日に至るまでの三十数年間で、日本の土地は価値が半減しているのが現実です」

■お買い得な日本

 しかも、為替相場で円安が進んだこともあり、海外の資産家にとって日本の不動産は非常にお買い得な投資対象となっているようだ。

 だとすれば、マンションの購入を検討している人はどのような行動を取るのが得策なのか? 長嶋さんは答える。

「利便性の高い物件を購入したいなら、もはやタイミングを見計らう必要はないでしょう。自分自身の資金事情に応じ、支払いに無理のない範囲で、少しでも早く買えばいいと思います。逆に、残りの85%(不人気物件)を狙うなら、今後も価格の低下が続くのがほぼ確定的なので、特に急ぐ必要はないでしょう」

(金融ジャーナリスト・大西洋平)

AERA 2023年6月12日号より抜粋

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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