
「いつの間にか人生のちょうど半分ほどを皇室で過ごしてきたことに、感慨を覚えております」
悩み多き時間だったとは思いますが、自身の人生を前向きにとらえていると感じました。3月には、天皇とともに、アンゴラの大統領夫妻と会談。何日もかけて、現地の干ばつなどについて勉強したと聞きます。
体調はまだ万全ではないでしょう。昨年9月、英国のエリザベス女王の国葬には、天皇とともに参列していますが、今年5月のチャールズ国王の戴冠式に向かったのは秋篠宮夫妻。伝統的には皇太子級が参列する戴冠式ですが、今は国王クラスの参列が世界の王室の新たな慣例になっています。早い段階で日程が決まる行事に対して、体調に波がある雅子皇后の参列を宮内庁が躊躇したのだと思います。
天皇は幼い頃、巨人軍の末次利光選手のファンでした。現在は水問題の研究をライフワークとするなど、いつも渋いところをついてくる。雅子皇后も21年のお誕生日に「働く女性の自殺が約3割増加し、小中高生の自殺も過去最多」と言及するなど、独自の関心分野を持っています。
それぞれが自分の「推し」を大切にする時代です。皇室の存続が危ぶまれる状況ではありますが、天皇夫妻の着眼点と興味を掘り下げる力は、時代を象徴していると思います。
(構成/編集部/古田真梨子)
※AERA 2023年6月12日号
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