AERA 2023年6月5日号より
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AERA 2023年6月5日号より

■まず使ってみてほしい

 その様子を見ていた小沢さんは「人間と違って、焦ったり、恣意(しい)的な誘導をしたりしないのが素晴らしい」と感心したという。

 その後、小沢さんはやりとりについて複数の教職員に意見を求めたところ、ChatGPTを授業で使ってみたいというポジティブな意見ばかりだった。「本当は、あのサポートプロンプトのように一人一人、丁寧に指導したいのだけど、手が足りない」という声もあった。小沢さんはこう語る。

「教員も生徒も、まずは使ってみてほしいですね。いくつかのルールは必要です。ただそのルールが本当に必要かどうか、ただ単に知らないから怖がっているだけなんじゃないか。そんなふうに考えて余計なルールをひとつでも減らす工夫をしてくれるといいな、と思っています」

 今後出されるガイドラインも最初から完璧なわけではない。実践してみて初めてわかる課題もあるだろうし、AIは休むことなく進化を続け、その活用法も次々と発明されていくことを考えると、ガイドラインも絶え間なく更新される必要がある。

 そんななかで教育を行うには、やはり教員自身が日頃からAIに触れて勘所を養っておくことが重要だ。その上で、AIが語っても説得力のない自分自身の経験や、そこから生まれた感情を通して子どもたちの健やかに生きる力を引き出し、学ぶことの面白さを教える。それがAI時代の教職員に与えられる新しい役割だと筆者は思っている。(ジャーナリスト・林信行)

AERA 2023年6月5日号より抜粋

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