フォトグラファーの仕事のかたわら、小さなバーでギフテッド向けのサロンを開く立花奈央子さん。他人は他人、自分は自分と実感できる場所だという=東京都新宿区(撮影/写真映像部・上田泰世)
フォトグラファーの仕事のかたわら、小さなバーでギフテッド向けのサロンを開く立花奈央子さん。他人は他人、自分は自分と実感できる場所だという=東京都新宿区(撮影/写真映像部・上田泰世)

 通っている塾の模試では偏差値79をとった科目もある。しかし、学校での評価は「出席」という高い壁がある。

 小学5年の2学期は登校するペースが落ちたものの、学校のテストでは良い点数をとった。だが、通知表では、出席日数が少ないため1学期より成績が落ちた。母親の純子さんは、担任に手紙を書いて都央さんの特性を理解してもらうよう努めてきた。それでも、「学校に行くことが前提」とされる現状をとても歯がゆく感じるという。

「日本では、子どもの能力よりも学校に行くことが評価されてしまう。前例がない、と言われることも多く、『すみません』と謝ることばかり。足が速い、絵がうまい、と同じようにギフテッドの特性を認めてほしい」(純子さん)

 海外の研究などによると、ギフテッドについて世界的におおよそ共通理解されている定義では、並外れた才能ゆえに高い実績をあげることが可能な子どもや、実際目に見えて優れた成果をあげている子どもだけでなく、潜在的な素質のある子どもも含むなどとされ、才能の領域は、知的能力全般、特定の学問領域、創造的思考や生産的思考、リーダーシップ、音楽、芸術、芸能、スポーツなどに及ぶ。

 ギフテッドはさまざまな才能の領域で3~10%程度いるという研究もある。35人学級だと、クラスに1~3人ほどいる計算だ。そして、ギフテッドの多くは都央さんのように、学校の授業を「ただ過ぎるのを待って過ごしている」と指摘する研究もある。

 また、知的な才能のあるギフテッドの子どもは、平均的に2~4学年、知的レベルが進んでいると言われており、小学6年生が小学2年生のクラスに所属すると想像すると、いかに居心地が悪いか思いをはせることができるかもしれない。

■学校の授業はとても退屈、先生からは「態度が悪い」

 成人してから自身がギフテッドかもしれないと感じた都内に住むフォトグラファーの立花奈央子さん(40)は、長い間生きにくさを感じてきたという。

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