AERA 2023年5月22日号より
AERA 2023年5月22日号より

 基礎控除後の贈与額の合計が2500万円を超えた分も、一律20%課税ですむ。両親や祖父母が贈与し、子どもや孫が受け取るケースでも、「相続時精算課税」を選択しない場合はもっと高い税率(基礎控除後の課税価格が1500万円超、3千万円以下の場合で45%)が適用される。

 この制度に関して留意しておきたいのは、利用できる対象が限定されていること。原則として60歳以上の父母や祖父母などから、18歳(22年3月31日以前の贈与は20歳)以上の直系卑属(子または孫)に生前贈与を行う場合に選択できる。また、一度でも選択すると「暦年贈与」による申告を行えなくなることや、不動産を相続した際に税負担が増える可能性があることにも注意を払いたい。

 控除枠の新設は朗報だ。河合さんはアドバイスする。

「父からの贈与では『相続時精算課税』を選択する一方、母からも贈与を受けて『暦年贈与』として申告するのも妙案でしょう。そうすれば、各々年間110万円ずつ、合計で220万円の非課税枠を享受できます」

(金融ジャーナリスト・大西洋平)

AERA 2023年5月22日号

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