投資信託、東証ETF、海外ETFを比較。投資信託の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と東証ETFの「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信」は、中身は全く同じ
投資信託、東証ETF、海外ETFを比較。投資信託の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」と東証ETFの「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信」は、中身は全く同じ

 税金面はどうか。通常の投信は利益に対して20.315%、分配金は同じ投信内で再投資されると出ないので、日本での税金はかからない(米国の税金は引かれる)。東証ETFは利益と分配金それぞれに20.315%。

「米国などの海外資産に投資するETFの分配金は通常、米国の税金10%が差し引かれた『残り』に日本の20.315%課税されるため二重課税になります(実質約28%の税金)。

 東証ETFの場合、2020年からはじまった『二重課税調整制度』の対象ETFは二重課税が自動的に調整され、日本の20.315%が課税されるだけです。これにより投資家は確定申告が不要になります」

 ちなみに海外ETFの場合、二重課税された分を外国税額控除の申告により取り戻せる場合がある。

 東証ETFは分配金がうれしい。

「通常の投信は、分配金を出さず自動的に再投資に回すものと、分配金を出すものがあります。また、分配金を出す投信の中には『投資家が分配金を受け取るコース』と『いったん受け取った分配金をすぐに再投資してくれるコース』が選べる場合もあります。

 東証ETFは運用中に出た分配金を投資家に還元することが制度上、義務づけられています」

 S&P500の東証ETFの分配金利回りは現状、1%強のものが多い。全世界株式の東証ETFもあり、こちらは約1.6%。日本株の高配当のETFは3~4%の水準で推移している(いずれも2023年4月7日現在)。

 資産形成期に少しずつ買い増して、残高が1000万円に達したとする。そのときの分配金利回りが1.5%なら、税引き前で毎年15万円の分配金がもらえる。東証ETFを買い増すほどに「老後の不労所得」が増えていく。

 分配金を受け取らず、再投資に回したほうが、資産は複利で効率的に増える。人気の投信が分配金を抑制するのは、このためだ。

 東証ETFで分配金が出ることを短所と感じる人もいる。ただ、分配金が出たら自分で再投資に回せば複利効果は得られる。再投資の手間はデメリットだが。

 なお東証ETFは、ネット証券で定額・自動でのつみたてはできない。毎月、自分でだいたい同じ金額分を買い、「つみたてチック」にするのがおすすめだ。

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