株式市場で売買できる投資信託が、東証ETF。分配金が魅力で信託報酬は安め、運用の透明性は高い。ではデメリットは? アエラ増刊「AERA Money 2023春夏号」より抜粋してお届けする。
【図表】eMAXIS Slim米国株式と中身が全く同じ東証ETFはコレ!
老後の資産運用に、通常の投資信託(以下、投信)ではなく「東証ETF」を選ぶ人が増えている。東証ETFとは、東京証券取引所に上場した投信のこと。通常の投信や海外の市場に上場するETF(以下、海外ETF)と比較したうえでの長所と短所を、東証の吉田貴弘さんに聞いた。
日本の通常の投信は、注文の時点では実際にいくらで買えるかがわからない。約定(売買の成立)までタイムラグがあるからだ。
「東証ETFは株式市場で日本株と同じようにリアルタイム取引されているので、その時々の価格ですぐに購入できます」
通常の投信とほとんど変わらない東証ETFが多くある。たとえば通常の投信「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と東証ETFの「MAXIS 米国株式(S&P500)」は、中身が同じ。何が違うか説明しよう。
まず、コストの安さ。中身が同じでも、通常の投信は0.09372%(税込み/以下同)、東証ETFは0.077%。
参考までに、同じくS&P500に投資する海外ETF「バンガードS&P500ETF」について。運用コストは0.03%とさらに安いが、売買手数料がネット証券の場合で約定代金の0.495%。NISA口座なら買うときは無料が多いが、売却時は0.495%だ。
為替手数料(原則1ドル当たり25銭)もかかる。為替手数料は、買うときは無料になることもあるが、売るときは必要だ。なお、海外ETFはドル建て取引だから、分配金もドルで払われる。
東証ETFの売買手数料は日本株と同じ扱いなので、SBI証券、楽天証券、auカブコム証券で「定額コース」を選べば1日100万円以下なら無料。東証ETFは中身が海外の株でも「円」で買えて、為替手数料もかからない。分配金も「円」で支払われる。