楽天証券の楠 雄治社長(撮影/写真映像部・東川哲也)
楽天証券の楠 雄治社長(撮影/写真映像部・東川哲也)
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 社長は何を食べ、財布にいくら入れ、何を目指しているのか。アエラ増刊「AERA Money 2023春夏号」から楽天証券・楠雄治社長のインタビューを紹介する。

【財布の中身画像はコレ】楽天証券楠社長の財布にはいくら入ってた?

 楽天証券のルーツは1999年にさかのぼり、2022年末の証券総合口座数は864万。グループ全体等のぼんやりした数字ではなく「単体のデータを公表している」証券会社では日本一だ。先端技術を駆使し、初心者にもやさしいサービスを提供する。

 楠社長が上着の内ポケットから取り出したのは、イタリアの有名ブランド「ボッテガ・ヴェネタ」の二つ折り財布。現金は2万4000円入っていた。

 誰もが知る証券会社の社長にしては少ない。カード類は2枚。1枚はANAのマイルが貯まる信販会社のカードで、「30年近く使っています」。もう1枚は発行当初から持っている楽天カード。年会費3万3000円(税込み)のブラックカードだった。

「現金はほとんど使わなくなりました。カード以外だと楽天ペイや楽天Edy(いずれもスマホアプリ経由)で払うこともあります」

 楽天証券は、楽天グループ企業が入居する東京・南青山のおしゃれなビルの中にある。今日の昼食は上層階のカフェテリアで、じゃがいもと鶏肉をやわらかく煮込んだ「マッサマンカレー」だった。

 具の少ないみそ汁付きのところに20世紀の社員食堂的なあたたかさもある。だが、やはり最先端、「このビルでは現金が使えません」。日本のキャッシュレス化で先頭を走ってきた楽天グループらしく、徹底した「脱現金」ぶりだ。

楠社長のランチは社食でとることが多い。写真はマッサマンカレー、おしゃれなカレーにみそ汁とは、さすが(?)社食。なお、社食は無料
楠社長のランチは社食でとることが多い。写真はマッサマンカレー、おしゃれなカレーにみそ汁とは、さすが(?)社食。なお、社食は無料

 楠社長は広島県出身。親族が経営するマツダの系列工場で両親が働いていた。高校を卒業すると、地元の広島大学文学部に進んだ。

「歴史が好きだったので西洋史を専攻しました。語学もいっぱい勉強しましたね。英語、ドイツ語、フランス語、ヘブライ語、ギリシャ語、ラテン語の単位を片っ端から取りました。

 ヘブライ語の旧約聖書の講読を教授と私の1対1で続けていたなぁ。大学5年生まで3年間も(笑)」

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創業の頃は新聞広告の効果が絶大だった