森口博子のデビュー曲でアニメ「機動戦士Zガンダム」の主題歌となった「水の星へ愛をこめて」(85年)は、宇宙的な視点が他の曲とは違う。そう言うと、
「……鋭いですね」
売野さんはニヒルな笑みを浮かべた。
「あの曲は、立花隆の『宇宙からの帰還』に影響されてるんです。宇宙に出た者は、ほぼ全員が神様を感じるということ。そして、宇宙から見る地球が青くてすごく綺麗で、それがだんだん小さく遠ざかっていくにつれ、宇宙に浮かぶひとつの宝石にしか見えないという……しびれるでしょ? そんなことを考えるうち、水の星、『水の星へ愛をこめて』というタイトルがスッと出てきた。そこからは早かったですね。そういったイメージがすっと出てくるかどうかがすべてのようなところはあります」
麻倉未稀の代表曲の「ヒーロー HOLDING OUT FOR A HERO」(84年)。ボニー・タイラーのヒット曲に日本語詩をつけたもので、ドラマ「スクール・ウォーズ」の主題歌としてヒットした。
「ドラマのおかげで今もラグビーをやる人たちのアンセムになってるもんね。すごいことだよね。あれは、訳詩じゃなくて“日本語詩”という、歌詞を忠実に訳さなくてオリジナルの解釈でいいというもので。サビの“ヒーロー”の響きは残して活かしつつ、僕が考えたのは、何がヒーローなのかということ。そこから元の英語詩を意識せずふくらませていく作業でした。麻倉さんに書いたあとに、『ボヘミアン』の葛城ユキさんにもこの曲を書いてるんですよ。それぞれ歌詞が違うので、聞き比べてみてください」
そんな売野さん、
「最近、追い詰められる夢をよく見るんですよ」
と笑う。
「このコンサートに合わせて、コンピレーションのCDと、インタビュー集が出る予定なんですよ。それに向けて書かなくちゃいけないものがたくさんあって、それに追い詰められてるからですよね(笑)」
※週刊朝日オンライン限定記事
(本誌・太田サトル)
売野雅勇 作詞活動40周年記念
オフィシャル・プロジェクト
『MIND CIRCUS SPECIAL SHOW「それでも、世界は、美しい」』
2023年7月15日(土)
開場:16:00
開演:17:00
東京国際フォーラム ホールA
【出演】
麻倉未稀 / 稲垣潤一 / 荻野目洋子 / 近藤房之助 / さかいゆう / 杉山清貴 / 東京パフォーマンスドール (木原さとみ 他) / 中島愛 / 中西圭三 / 中村雅俊 / Beverly / 藤井尚之 / 藤井フミヤ / MAX LUX / 望月琉叶 / 森口博子 / 山内惠介 / 山本達彦 / 横山剣
※50音順。都合により出演者が変更になる場合がございます。予め御了承ください。