林:すごくカワイイ! メチャカワ! 藤原道長の役は誰ですか。
大石:柄本佑さん。あの人、長身で、シュ~ッとしていて、むちゃくちゃ色っぽいんですよ。その色気がうまく出るといいなと思ってます。
林:『紫式部日記』を読んで、私たちと似てるなと思ったのは、紫式部って作家の目でいろんな人を見てるんですよね。偉い人の輿を担いでいる人がすごく苦しそうで、「あれは私だ」って言ったりする。あれを読んで私、1千年前の人がぐっと身近になった。
大石:そうですよね。フィクションじゃないと本当のことは書けないとか、そういうこともサラッと言ってて。彼女は、(藤原)道長のことを好きだったと、私は思うんですけど、彼に庇護されながらも批判するまなざしもあって、ほんとに『源氏物語』は哲学的作品だなと思いました。
林:大石さん、大河は何回目?
大石:2回目です。
大石:「大河をやってください。紫式部の物語で」って。私、「山本五十六とかやったらおもしろいんじゃないですか?」とかいろいろ言ったんだけど(笑)、「山本五十六だったらあなたに頼みません」みたいな感じだったんです。私、仕事はいつも即決なんですけど、今回はどうしようかなあと思ってすごく迷いました。
林:そうでしたか。
大石:「大河、やりたい、やりたい」って言ってるときは、誰も振り向いてくれず無視され続けていたけど(笑)、「こんなトシになって言われてもなあ」という気持ちと、平安時代って誰も何も知らないし、なじみのない時代を、視聴者が見てくれるのかと考えました。戦国時代だったら、こうなってああなって、本能寺で信長は死ぬってわかるので、みんな乗りやすいですけど。チャレンジングではあるけど、危険な企画だと思いました。史料もないし。だけど、私、70歳になって、この先こんなに「ぜひやってくれ」と求められることはもうないだろうと思うし、これを断ると後悔しそうで、イチかバチかやってみようと思ったんです。道長が書いた『御堂関白記』という日記があるでしょう。