4月28日朝、大型連休を前に、出国手続きをする人々で混み合う成田空港・国際線の出発ロビー
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 新型コロナウイルス感染の波がまたじわりとやってきている。BA.5にかわり、世界的に増えているのはXBB系統だ。AERA 2023年5月15日号から。

【東京都によるゲノム解析結果の推移はこちら】

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 新型コロナウイルスの流行の主体が、オミクロン株の亜系統XBBに変わりつつある。東京都によると、4月20日現在、4月に遺伝子解析した都内のウイルスの71.0%をXBB系統が占めた。3月の39.3%から急増した。

 XBB系統の中で特に多いのはXBB.1.5系統で、4月は全体の46.8%に達した。ただし、XBB.1.9.1系統も3月の8.5%から12.9%と増えており、海外の動向をみると、国内でも今後さらに増える可能性もある。

 国立感染症研究所によると、4月10日時点の推計で、第16週(4月17~23日)には、全国でXBB.1.5が54%、その他のXBBが9%に増える一方、かつて割合の高かったBA.2.75は15%、BQ.1は13%、BA.5は9%に減ると推測されるという。

 海外でもXBB系統が主流だ。米疾病対策センター(CDC)によると、1月下旬にXBB.1.5系統が遺伝子解析したウイルスの過半数を占め、3月には80%を超えた。ただし、4月に入ってからはやや減少傾向で、その分、XBB.1.16やXBB.1.9.1といった別のXBB系統が増えている。

■感染が広がりやすい

 世界保健機関(WHO)によると、4月3日~9日の週に国際的な新型コロナウイルスの遺伝子解析データベースに登録された件数のうち、XBB.1.5が45.39%、XBB.1.9.1が9.36%、XBB.1.16が4.31%、その他のXBB系統が16.02%を占めた。

 XBBの「X」は、組み換え体を意味する。通常の亜系統は、ウイルスの遺伝子の一部分に変異が起きている。組み換え体は、2種類のウイルスの遺伝子が組み換わって生じる。2種類のウイルスに同時に感染した人や動物の体内で発生する。

 XBBはオミクロン株のBJ.1系統と、BM.1.1.1系統の組み換え体だ。2022年8月にインド、9月にシンガポールや米国から報告され始めた。XBBの亜系統であるXBB.1.5は米国を中心に広がり始め、XBB.1.9.1は欧州などから、XBB.1.16はインドなどから広がり始めている。

 感染研によると、XBB.1.5はBA.5やBQ.1よりも感染が広がりやすく、感染者を増加させる優位性がある。また、感染したりワクチンを打ったりしてできた免疫を回避する能力はBA.5よりも高いとされており、すでに感染したことがある人や、ワクチンを打った人も感染するリスクが高まる可能性がある。

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